ワールドカップ感染ツアー 2002 日本韓国大会
Ⅰ 「和魂洋才」でサッカー「坂の上の雲」
明治維新は和魂洋才だった。西洋への猛烈なキャッチアップが必要だった。日本であり日本人であることを保つために、お雇外国人を高給で招聘し、使節団を欧米に派遣し、殖産興業に貪欲になった。
1998年ワールドカップフランス大会は日本のサッカー維新。でも結果は散々。迷わずお雇外国人をフランスから招く。
旧幕府軍の軍事顧問団はフランスだった。チョン髷兵士を洋服の軍監が教練した。
選手は黒髪から茶髪や赤髪トサカ頭へと断髪した。フランス人のお雇外国人はスーツ姿で監督する。選手はウブだった。世界を知らな過ぎた。お雇外国人は彼らを世界中連れ回し一人一人に自信をつけさせる。単身で欧州に飛び出す選手も輩出する。そして4年後の2002年ワールドカップ。
幕府軍は戊辰の戦いで破れたけれど、和魂洋才は明治政府に引き継がれ、殖産興業を果たし、「坂の上の雲」を追いかける。そして日露の戦いに勝利する。
サッカー日本代表はどこまでのぼりつめるのか。
(注)「坂の上の雲」とは司馬遼太郎の小説です。
Ⅱ 熱中したのは「サッカー」なのか「何か」なのか
昔の歌謡曲は100万枚売れればすごいといわれた。今や宇多田ヒカルはファーストリリースだけで400万枚。浜崎あゆみが現れて、安室にあこがれていたガングロは完全に姿を消した。人と同じ物を買い同じ格好をすると安心なのか。
ワールドカップサッカー日本戦の日には、街中にブルーのユニホームがいる。どこへ行っても「青」「青」「青」。
熱狂は伝染する。プロ野球しか見なかったおじさんも何も見なかったおばさんも感染して興奮している。視聴率は60%。街頭テレビは黒山の人だかり。
60年代は力道山の活躍に街頭テレビは人であふれた。娯楽のない時代だった。他に娯楽はなかったのだ。今も同じ時代なのか。この現象は一体何なのか。
サッカーに熱中しているのか、それとも何でもいいからと、皆と連帯して同じになれる何かを求めているのか。
Ⅲ 日本中が「中津江村の人たち」になった
カルメンを待ち続けたのはドンホセ。カメルーンを待ち続けたのは中津江村の人たち。 ドンホセはカルメンを刺してしまうが、中津江村の人たちはやさしい。
俺なら「ふざけんな」って言うねと、都会では誰もが思った。しかし中津江村の人たちはどこまでもいい人たちだった。
皆思い出した。もともと自分たち日本人はあの中津江村の人たちのようにどこまでもやさしい人たちだったことを。中津江村の人たちを見て、自分の中に隠し続けてきたやさしさを思い出した。そして今度は皆がやさしいまなざしで中津江村の人たちを見た。日本中がやさしくなった。
でもカメルーンの選手たちも可哀想なのだ。噂に聞くROPPONGIもKABUKICHOもありゃしない。あるのは健全な生活と自然だけ。ナンパしたくても派手で若いオネエチャンはいない。いるのは国旗を振ってくれるオバアチャンばかり。
高層ビルが連立するだろうカメルーンの都会から乗り込んだ選手は、きっと「何でこんな田舎に連れてこられたんだ…」…。同情。
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